退職を2週間前に伝えるのは非常識ではない？理由と退職を伝えるときの注意点を解説

退職について申告した際、実際に仕事を辞めるのは2週間後になります。しかし会社によっては、ちょうど2週間前に退職の旨を伝えるのは、非常識だと考えている所があるようです。

本来、退職の意向を2週間前に伝えるのは非常識ではありません。本記事では、なぜ非常識にならないのかに加え、逆に非常識になるケースについても解説します。

関連記事：退職するまでの期間はどれくらい？スケジュールの立て方とやるべきことを解説

退職を2週間前に伝えるのが非常識にならない理由

2週間前に、退職の意向を伝えるのが非常識ではない理由は以下のとおりです。

退職は2週間前に伝えるようにと民法で決められているから 人にはそれぞれ「やむを得ない理由」があるから 職業選択の自由が憲法で定められているから 本来2週間もあれば会社に迷惑がかかることもないから

ひとつずつ解説していきます。

退職は2週間前に伝えるようにと民法で決められているから

非常識にならない理由として、退職を申し出てから2週間後には、雇用契約が切れると法律で定められているためです。

 具体的には、以下のように民法第627条で定められており、さらに解約の申し入れはいつでもできると公言されています。2週間前に退職の意向を伝えるのは、法律に沿っているに過ぎません。

第六百二十七条　当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元：（期間の定めのない雇用の解約の申入れ）｜民法 | e-Gov法令検索

おそらく、退職の2週間前に報告するのを非常識だと考える会社は、上記の法律自体に不満をもっているのでしょう。

人にはそれぞれ「やむを得ない理由」があるから

退職希望者には、やむを得ない事情で急に仕事を辞めなくてはいけない人もいるはずです。人々の事情を考えると、2週間前に退職の意向を伝えるのは、決して非常識ではないといえます。

 たとえば、家庭の事情で急に引っ越しが決まったり、入院が必要になったりなどの事情は少なからずあるでしょう。2週間前に、退職希望を出すのが非常識だと考える会社は、あまり良い環境とはいえません。

 たとえ会社側から非常識だといわれても、2週間後にそのまま退職を決行してもよいでしょう。

職業選択の自由が憲法で定められているから

日本国民には、そもそも「職業を選ぶ自由」が憲法で定められています。おもに、以下のように憲法第22条に記されており、2週間後に退職しても問題はないのです。

１．職業選択の自由

○ 日本国憲法（昭和21年憲法）第22条第１項においては、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と規定されており、これは、職業選択の自由を保障しているものである。

○ この「職業選択の自由」は、自己の従事する職業を決定する自由を意味しており、これには、自己の選択した職業を遂行する自由、すなわち「営業の自由」も含まれるものと考えられている。

引用元：憲法22条に規定する職業選択の自由について｜厚生労働省

 確かに、即日になっていきなり辞められるのは困るかもしれませんが、報告した2週間後であれば非常識にはならないでしょう。

本来2週間もあれば会社に迷惑がかかることもないから

2週間前の時点で、「失礼だ」「もっと早く話すのが筋だ」などと文句を言う会社は、なにかしらの欠点があります。

人手に余裕がある会社や、うまく仕事が回っている会社は、2週間前に退職の意向を伝えても困ることはないのです。

「2週間前に伝えるのは迷惑かな…」と悩んでいる方は、なにも心配はいらないので、安心して退職の意向を伝えましょう。

退職を2週間前に伝えても非常識になるケース

前項では、退職する2週間前に報告するのは非常識ではないと解説しました。しかし、場合によっては「非常識」になるケースがあります。該当する項目は以下のとおりです。

就業規則で2週間以上の期間が定められている場合 社内に2週間より早く退職を申し出ている人が多い場合 口頭ではなく電話やメールのみで伝えた場合

退職する際は、会社の状況や伝え方を意識するよう心がけましょう。

就業規則で2週間以上の期間が定められている場合

とくに、多くの会社で設けられている時期は、仕事を辞める1ヵ月前であったり3ヵ月前であったりです。自分の会社で定められた就業規則に沿わない場合、たとえ2週間前であっても非常識とされるかもしれません。

しかし一般的に、退職する時期は就業規則よりも、法律を優先してよいとされています。早めに退職したい方は、法律を優先させて2週間前に仕事を辞めてもよいでしょう。

社内に2週間より早く退職を申し出ている人が多い場合

早めに退職を申し出ている人が周りの社員に多い場合、自分だけ2週間前に伝えるとどうしても目立ってしまいます。

悪く目立ちたくない方は、周りの退職者や希望者に合わせた時期に伝えたほうがよいでしょう。しかし、退職を決めた会社で目立つことなど、気にする必要はありません。

そもそも、2週間後に辞めること自体なにも非常識ではなく、会社の固定観念に過ぎないので気にせず退職してもよいのです。

口頭ではなく電話やメールのみで伝えた場合

実際に退職する時期などを問わず、伝え方に問題がある場合、非常識だと思われてしまうでしょう。退職の意向など、大事な話を電話やメールのみで済ませるのは、ビジネスマナー的にもふさわしくありません。

退職の意向を伝える際は、できるだけ直接会って口頭で話すようにしましょう。そして、雇用契約が切れる前日に、あらためて退職届を提出すれば非常識だとは思われなくなります。

退職を2週前に申し出るのは非常識だと見なしやすい職場の特徴

退職2週間前に希望するのが、非常識かそうでないかの判断基準は会社によって違います。ただ、以下の特徴に該当する職場は、2週間前でも非常識だと見なしやすい傾向です。

パワハラなどのハラスメントが横行している所 人手不足が懸念されている所 仕事がうまく回っていない所

非常識だといわれても、あまり気にする必要はありません。やり残したことがなければ、退職の意思を伝えた2週間後に仕事を辞めてもよいでしょう。

パワハラなどのハラスメントが横行している所

社員にパワハラを頻繁におこなう会社は、ほかにも理不尽な行為に走りやすい傾向にあります。2週間後に辞めるのを非常識扱いしてくるのも理不尽な行為のひとつです。

なかには、単に自分が気に食わないというだけで、非常識だと騒ぎ立てる上司も存在します。そのような会社で働き続けても良いことはないので、できるだけ早めに退職したほうがよいでしょう。

関連記事：パワハラに該当する状況は？起こる原因や対処法・注意点などを徹底解説

人手不足が懸念されている所

2週間前に退職の旨を伝えるのが非常識だとする会社は、人手不足が懸念されている場合が多いと考えられます。人手が足りず、一人でも辞められると、仕事の回り具合が一気に悪くなるためです。

会社に余裕がない場合、人手が足りない状況下で退職すると、「恩を仇で返すのか」などと逆上されやすくなります。しかし、人手不足は会社側の責任であり、社員の原因ではありません。

会社の都合に、自分の生活を犠牲にしてでも巻き込まれる必要はないのです。辞めたいと考えている方は、人手の状況など気にせず、すぐに辞めてしまいましょう。

仕事がうまく回っていない所

前項の「人手不足が懸念されている所」にもつながりますが、仕事が回っていない職場も非常識だと思われやすくなります。

仕事が溜まりすぎているか、会社側が仕事を回す要領が悪く、なかなかノルマが達成しない場合が該当します。

そんな状況で仕事を辞められると、人手が少なくなり、今よりも仕事が回らなくなると考えているのでしょう。

仕事が回らないのは、人手不足と同様に会社側の責任です。あまり気にせず、辞めたいときに辞めてしまいましょう。

退職の意向を伝えるときの注意点

退職の意向を伝える際は、以下の点に注意しましょう。

事前に就業規則を調べておく 繁忙期に伝えるのは避ける 退職届などの書面を用意する 嘘の理由を話さない

順番に解説します。

事前に就業規則を調べておく

退職を決めた方は、事前に就業規則を調べましょう。就業規則に「2週間前」と記載があった場合は、上司から非常識だと言われても気にする必要はありません。

ただ、「退職を2週間前に伝えても非常識になるケース」で伝えたとおり、会社によっては退職するまで時期が決められています。

繁忙期に伝えるのは避ける

退職の意向を伝える際は、タイミングを重視しましょう。退職するまでの時期に限らず、繁忙期など都合の悪いときに伝えると「空気が読めない」と思われ、非常識だと思われてしまいます。

退職に関する相談は、できるだけ仕事が落ちついたときや、上司の手が空いているときにおこなうようにしてください。繁忙期に伝えるのは、あまりおすすめできません。

退職届などの書面を用意する

意思の証拠が残らないと、上司にはぐらかされたり「聞いていない」などと、誤魔化されたりするおそれがあります。

なかったことにされないよう、退職の意思表示は口頭と書面、両方をおこなうよう心がけてください。

関連記事：退職届の書き方や提出方法を徹底解説！ ～辞めたい人の「退職届」マニュアル～

嘘の理由を話さない

たとえば仕事が合わない、また人間関係が合わないなどが本来の理由なのに、「家族が病気だから」と話すのは非常識に値します。

マイナスな理由はおすすめしませんが、退職したい理由を話す際は、前向きな理由を意識したほうがよいでしょう。

2週間前に伝えても辞めさせてもらえないときの対処法

退職2週間前に報告しても承諾されないときは、以下の対処法を実行しましょう。

毅然とした態度で突き通す 人事部やさらに上の上司に話す 内容証明郵便で退職届を郵送する 退職代行サービスを利用する

順番に、ひとつずつ解説していきます。

毅然とした態度で突き通す

退職させてもらえそうにないときは、できるだけ毅然とした態度で伝えるよう意識してみてください。

自信がなさそうに言ったり、くよくよした様子で伝えたりすると、「引き止めれば続けてくれる」と思われてしまいます。

しかし、はっきりと退職の意向を伝えれば、上司のほうも引き止めづらくなります。簡単に辞められそうにない場合は、決してひるむことなく強気の姿勢を保つよう心がけましょう。

人事部やさらに上の上司に話す

直属の上司でもない限り、退職を引き止められることは一般的にはありません。また、人事部や上層部に話す際、直属の上司について相談がある場合は、同時に話してもよいでしょう。

内容証明郵便で退職届を郵送する

退職が認められないときは、内容証明郵便で退職届を郵送するのも手段のひとつです。内容証明郵便で送ると、いつ・誰が誰に・どんな内容の郵便物をどこに送ったかなどの記録が郵便局に残ります。

同時に、退職の意思がある証拠が十分に残るため、上司から「聞いていない」などと誤魔化されることもありません。

上司に問題がある場合は、内容証明郵便で退職届を送ったのち、契約解除日を待たずに辞めてもよいでしょう。

退職代行サービスを利用する

どうしても自分で辞められそうにない方は、退職代行サービスを利用するのも方法のひとつです。退職代行を利用すれば、希望次第で即日退職も実現できます。

また退職届の提出や貸与物の返却は、全て郵送で完結するため、出社の必要も会社に連絡する必要もありません。退職代行サービスを利用する際は、労働組合が運営している所を選ぶのがおすすめです。

次項で、おすすめの退職代行サービスを説明しているので、気になる方はぜひ目を通してみてください。

関連記事：退職代行は労働組合が運営するサービスがおすすめ！民間の退職代行との違いやメリットを解説

仕事を辞めさせてもらえない人におすすめの退職代行サービス

退職が承諾されない方におすすめの退職代行サービスを以下に紹介します。自分一人では辞められそうにない方は、ぜひ以下のサービスを参考にしてください。

退職代行Jobs

弁護士からの指導により安全なサポートを実行 労働組合と連携！会社への交渉も可能 24時間対応しているから忙しい人にも使える

 退職代行Jobsは、弁護士による適性指導がおこなわれ、法的に安全な方法で退職代行をおこなうサービスです。民間のサービスとは異なり、法律に関しては多くの専門知識を備えています。

 また、労働組合と連携しているため、会社への交渉も可能です。有給消化や、退職金の支払い交渉など、自分では言いづらい件についてはお任せください。

 退職代行Jobsは、相談を24時間受け付けています。普段は忙しい方でも、空いた時間に利用できるので、気になる方は気軽に相談してみましょう。

 関連記事：退職代行Jobsの評判・メリット・デメリットは？口コミや使い方も紹介

退職代行ガーディアン

LINEのみで相談可能！余計な手間はかからない どんな会社でも問題なく即日退職できる 追加料金なしで費用は一律2万4,800円

 退職代行ガーディアンは、LINEで連絡を入れるだけで相談できる、大手の退職代行サービスです。相談の手続きも最短30分で終わるため、余計な手間はいりません。

 パワハラがひどい会社や、融通が利かない会社など、どんな職場でも退職代行をおこないます。希望すれば、即日退職も可能なので、早く辞めたい方はとくにおすすめです。

 退職代行ガーディアンの費用は2万4,800円で、追加料金は一切かかりません。どれほどのトラブルが起こっても、一律の料金内で対応します。金額面に関しても、安心して利用してください。

関連記事：退職代行ガーディアンの評判は？メリット・デメリットを口コミとともに解説

退職代行OITOMA

円満退職を重視しトラブルも最小限に抑えられる 東京中央法務オフィスと提携&労働問題もサポート可能 弁護士監修なのに2万4,000円の価格

退職代行OITOMAは、円満退職を重視し、会社とのトラブルも最小限に抑えるよう努めている退職代行サービスです。

大きな強みとしては、「行政書士東京中央法務オフィス」と提携しているところが挙げられます。残業代の計算書や告訴状の作成、セクハラ行為に対する慰謝料の請求など、法的な労働問題までサポート可能です。

 また、弁護士監修のもと代行をおこなうにも関わらず、費用は2万4,000円と低価格です。手頃な価格かつ安全な方法で代行をおこなうので、退職について悩んでいる方はぜひ相談してください。

関連記事：退職代行オイトマの評判を口コミとともに解説！どんな人が利用すべきサービスか

まとめ｜退職を2週間前に伝えても非常識ではない！次のステップを踏み出そう

また、退職2週間前に相談するのが非常識だとする会社は、1～3ヵ月前に伝えても非常識扱いするケースが多く見られます。

結局、理不尽な思いをさせたいだけに過ぎないので、気にせず法律に沿って退職に移りましょう。

ただし、就業規則に退職日の規定がされている場合は、できるだけ規則に沿って手続きをおこなうのが無難です。とくに、円満に退職をしたい方は、就業規則に反する行為は避けたほうがよいでしょう。