労働相談ができる窓口の中には、電話相談や時間の相談受付に対応しているところもあります。
パワハラや職場いじめ、長時間労働による過労などの労働問題に悩んでいる方は、今すぐ相談ができる窓口を探しているかもしれません。
本記事では、労働相談ができるの窓口を紹介します。
電話相談はもちろん、時間労働相談ができる窓口も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目 次
労働相談を窓口や無料電話で受け付けている窓口
労働問題を無料で相談したいときは、行政機関などの窓口を利用してみましょう。
以下の窓口は電話やメール、SNSなどの無料相談に対応しています。
こころの耳
こころの耳は厚生労働省管轄の相談窓口になっており、以下のように電話やメールで労働相談を受け付けています。
相談できる内容 | 人間関係の悩みやメンタルヘルスなど |
電話番号 | 0120-565-455 |
利用時間 | 月・火曜日:17時00分~22時00分
土・日曜日:10時00分~16時00分 ※祝日と年末年始を除く |
電話以外の相談方法 | SNS相談やメール相談 |
公式ホームページ | こころの耳 |
電話相談は回あたり分が限度になるため、相談内容を整理してから利用するとよいでしょう。
メール相談は専用フォームから受け付けており、メールアドレスへの直接送信はできないので注意してください。
各自治体の法律相談窓口
各自治体には法律相談窓口があり、弁護士などの専門家が労働相談に乗ってくれます。
予約の有無は各自治体によって異なりますが、1回あたりの相談時間は30分程度が多いでしょう。
また、相談日は役所の開庁・閉庁と連動しているため、平日のみ利用できます。
相談方法は基本的に直接面談ですが、メールや電話相談できる自治体もあるので、広報誌や公式ホームページで確認してください。
なお、担当弁護士は労働相談しか対応していないため、その場で委任契約は結べません。
労働問題の解決を依頼したいときは、担当弁護士が所属する法律事務所に相談しましょう。
労働条件相談ほっとライン
労働条件相談ほっとラインは厚生労働省の委託事業になっており、株式会社東京リーガルマインドが受託者となる相談窓口です。
相談できる内容 | 違法な時間外労働や過重労働、賃金不払いなど |
電話番号 | 0120-811-610 |
利用時間 | 月~金:17時00分~22時00分
土日・祝日:9時00分~21時00分 ※12月29日~1月3日を除く |
電話以外の相談方法 | なし |
公式ホームページ | 労働条件相談ほっとライン |
セクハラなどの嫌がらせは専用窓口を案内してもらえるので、どんな労働問題でもひとまず相談してみましょう。
ただし、相談業務しか対応していないため、不払いの残業代を支払わせるなど、会社への指導は依頼できません。
総合労働相談コーナー
厚生労働省は全国に総合労働相談コーナーを設置しており、労働相談を電話や直接面談で受け付けています。
相談できる内容 | 不当解雇や雇い止め、パワハラや賃金引下げなど |
電話番号 | 各都道府県の公式ホームページ参照 |
利用時間 | 主に月~金曜日の9時30分~17時00分
※祝日と12月29日~1月3日を除く |
電話以外の相談方法 | 直接面談 |
公式ホームページ | 総合労働相談コーナー |
相談時間は平日の9時30分~17時00分が多いようですが、地域によっては11時00分~18時30分などの窓口もあります。
相談内容は特に限定されておらず、専門家による助言・指導・あっせんも利用できるので、労働問題の早期解決を目指せます。
ただし、助言や指導、あっせんには強制力がないため、不払い賃金の回収や慰謝料請求は自分で対応しなければなりません。
ハラスメント悩み相談室
ハラスメント悩み相談室とは、近年問題になっているカスタマーハラスメントや、就活ハラスメントに特化した相談窓口です。
相談できる内容 | カスタマーハラスメントや就活ハラスメント |
電話番号 | なし |
利用時間 | 24時間受付け |
電話以外の相談方法 | メールとSNS |
公式ホームページ | ハラスメント悩み相談室 |
以前はパワハラやセクハラなどの相談にも対応していましたが、2023年3月31日に終了しています。
現在は相談方法がメールとSNSのみになっており、基本的には72時間以内に返信があります。
ハードクレーマーや面接時のハラスメントに困ったときは、スマートフォンやパソコンから相談してください。
みんなの人権110番
人権に関わる労働相談があるときは、みんなの人権110番に電話相談してみましょう。
相談できる内容 | 差別や虐待などのハラスメント |
電話番号 | 0570-003-110 |
利用時間 | 平日の8時30分~17時15分 |
電話以外の相談方法 | 直接面談とインターネット相談 |
公式ホームページ | みんなの人権110番 |
電話相談は最寄りの法務局につながり、職員や人権擁護委員が相談に乗ってくれます。
深刻な人権問題の場合、人権擁護委員などが調査をおこない、通告や告発などを措置してくれるので、ハラスメントや人権侵害の根本的な解決を目指せます。
各都道府県の弁護士会
各都道府県の弁護士会では法律相談センターを設置しており、労働相談などのさまざまなトラブル解決に対応しています。
相談できる内容 | 労働相談全般 |
電話番号 | 弁護士会の公式ホームページを参照 |
利用時間 | 弁護士会の公式ホームページを参照 |
電話以外の相談方法 | 直接面談 |
公式ホームページ | 日本弁護士連合会 |
法律相談センターは直接面談しか受け付けておらず、電話は予約専用となっています。
また、相談料は基本的に有料ですが、労働相談を無料にしている法律相談センターもあるので、公式ホームページを確認してみましょう。
地域によっては土日の相談も受け付けており、ショッピングモール内などの巡回相談も利用できます。
日本労働組合連合会のなんでも労働相談ホットライン
なんでも労働相談ホットラインは日本労働組合連合会が運営しており、組合づくりなどの相談も受け付けています。
相談できる内容 | 労働問題全般 |
電話番号 | 0120-154-052 |
利用時間 | 平日の10時00分~17時00分 |
電話以外の相談方法 | AIチャットやLINE、直接面談やメール |
公式ホームページ | 日本労働組合連合会のなんでも労働相談ホットライン |
AIチャットは多言語対応になっており、365日24時間利用できます。
直接面談は各都道府県の地方連合会で受け付けているので、トップページの「連合について」から「地方連合会」を辿ってください。
労働組合がない職場は労働問題が深刻化しやすいため、早めの相談をおすすめします。
労働相談を無料電話で24時間受付けている窓口
労働問題は夜間の相談が必要になるケースもあるので、24時間受付けの相談窓口を知っておくとよいでしょう。
休日や夜間に労働相談したいときは、以下の窓口を利用してください。
よりそいホットライン
よりそいホットラインは国の補助事業になっており、労働問題や心の悩みなどに専門の相談員が対応してくれます。
相談できる内容 | 職場内の孤立や人間関係のストレスなど |
電話番号 | 全国:0120-279-338
岩手県、宮城県、福島県:0120-279-226 |
利用時間 | 24時間対応 |
電話以外の相談方法 | AIチャットやグループチャット、FAX |
公式ホームページ | よりそいホットライン |
心に大きな悩みを抱えており、話だけでも聞いてほしい方は、まずよりそいホットラインに相談してください。
電話がつながりにくいときは、時間帯をずらしてみましょう。
法律事務所
一部の法律事務所は24時間対応になっており、休日や夜間も労働相談を受け付けています。
相談方法も電話やメール、LINEやオンライン面談などがあるので、けがや病気で入院している方も相談可能です。
休日や夜間対応の法律事務所を探しておくと、夜勤中の労災や無給の休日出勤などがあった場合、証拠保全のアドバイスを受けられます。
サービス残業やハラスメント、不当解雇などが横行している会社であれば、弁護士に相談したほうがよいでしょう。
労働相談を電話でするときのポイント
電話の労働相談には以下のようなポイントがあり、情報整理が不十分だった場合は的確なアドバイスを受けられません。
解決を急ぐ労働問題であれば、相談窓口の選び方も重要になるでしょう。
労働相談に至る経緯や原因をまとめる
労働問題が発生したときは、相談に至る経緯や原因をまとめてください。
パワハラの電話相談であれば、加害者との関係や被害を受けていた期間、具体的なハラスメントの説明が必要です。
営業目標未達や業務上のミスなど、パワハラの原因も想定しておくとよいでしょう。
また、労災の相談であれば、回避できない想定外の問題だったのか、危険個所だとわかりつつ放置されていたのか、必ず原因と経緯を整理してください。
正確かつ簡潔に相談内容を伝えると、電話相談でも的確な回答を得やすくなります。
どのように解決したいのか考え方を整理する
労働問題を電話相談するときは、どのように解決したいのか考え方を整理してください。
たとえば、退職勧奨を相談する場合、会社に残りたいのか、または退職を前提に有利な条件を引き出したいのか、方向性を決めておく必要があります。
セクハラの相談であれば、加害者との関係修復を望むのか、慰謝料請求で徹底的に争うのか、相談内容を整理しておくとよいでしょう。
証拠や資料を集めておく
労働問題によっては損害賠償請求も必要になるため、電話相談するときは証拠や資料を集めてください。
ある程度の証拠や資料があると、相談員も具体的な解決策を提案しやすくなります。
また、電話相談では音声のやりとりしかできませんが、「証拠があるか・ないか」でアドバイスが変わるでしょう。
賃金不払いの証拠として給与明細だけ保管している場合でも、電話相談すると「源泉徴収票や就業規則も集めてください」などのアドバイスを受けられます。
相談しかできない窓口があることを理解しておく
労働問題は相談しかできない窓口もあるので、何に対応してもらえるのか理解しておきましょう。
「ひとまず悩みを聞いてほしい」というケースであれば、労働条件相談ほっとラインや、よりそいホットラインが相談に乗ってくれます。
賃金不払いやセクハラなどが発生しており、会社への指導やあっせんが必要な場合は、総合労働相談コーナーやみんなの人権110番などに相談してください。
会社と交渉して不当解雇を撤回させるなど、労働者の権利を守り、損害も補てんしたいときは、法律事務所への相談をおすすめします。
電話で労働相談をする際の注意点
電話で労働相談するときは、以下の点に注意しておきましょう。
無料だと思って相談したところ、実は有料のケースがあり、長時間の相談は電話料金も高くなります。
相談先によっては通話料や相談料がかかる
電話で労働相談する場合、通話料や相談料に注意してください。
公式ホームページに「無料相談」と記載があっても、相談料のみ無料になっており、通話料が発生しているケースがあります。
また、フリーダイヤルは無料通話できますが、相談料は有料になっている場合があるので、あとで料金を請求されます。
無料通話と無料相談は勘違いしやすいため、ホームページをよく確認しておきましょう。
電話相談で悩みが解決するとは限らない
電話相談で適切なアドバイスを受けたとしても、悩みが解決するとは限りません。
セクハラなどの悩みを相談すると、一時的にストレスから解放されますが、翌日には加害者のいる職場に出勤するため、何も解決していない状況です。
不当解雇や退職勧奨などを相談しても、窓口によっては「相談に乗るだけ」というケースがあるので、根本的な解決は難しいでしょう。
電話での労働相談は、時間制限が設けられているケースがある
労働問題の電話相談は利用者が多いため、基本的には時間制限が設けられています。
行政機関の場合は長くても30分程度になっており、一日の相談回数を制限している窓口もあります。
労働問題の発生原因が複雑な場合や、関係者が多いときは、状況説明だけで制限時間を超えてしまうでしょう。
電話で労働相談するときは、時間や回数の制限に注意してください。
労働問題を電話相談で解決できなかったときの対処法
労働問題の電話相談には限界があるので、トラブルを解決できなかったときは以下の対処法を検討してみましょう。
職場に介入してもらえる相談窓口であれば、労働問題を根本的に解決できる可能性があります。
弁護士に相談・依頼する
労働問題を弁護士に相談すると、解決の見込みがあるかどうか推測してくれます。
トラブルの原因や関係者を整理し、証拠も提示できれば、具体的な解決方法を提案してもらえるでしょう。
また、不当解雇やセクハラ・パワハラなど、解決が難しい問題が発生しているときは、弁護士に代理交渉を依頼できます。
雇用問題やハラスメントは専門知識がなければ解決できないため、弁護士に任せたほうが確実です。
不払い賃金の回収や労災認定に困ったときも、弁護士に解決を依頼してみましょう。
労働基準監督署に相談・申告する
労働基準監督署は労働者の相談・申告を受け付けており、賃金不払いや長時間労働、労災隠しなどの問題に対処してくれます。
相談方法は面談・電話・メールですが、深刻な労働問題が発生しているときは面談がよいでしょう。
面談の場合は8時30分~17時15分までが受付時間になっており、平日のみ利用できます。
また、労働基準監督署には会社を監督指導する権限があるため、悪質な労働問題があれば是正勧告し、場合によっては逮捕権も発動します。
ただし、セクハラやパワハラなどは労働基準法違反にならないので、労働基準監督署には対応してもらえません。
会社側に正当理由がある場合、労働基準監督署は解雇や懲戒処分にも対応できないので注意してください。
労働問題に関する無料電話相談ならベンナビ労働がおすすめ
無料電話で労働問題を相談したいときは、「ベンナビ労働問題」を活用してみましょう。
ベンナビ労働問題は地域や相談内容の絞り込み検索ができるので、会社や自宅などに近い法律事務所がすぐに見つかります。
各事務所の詳細情報には労働問題の解決事例などが掲載されており、弁護士費用も比較できるため自分に合った弁護士を探しやすいでしょう。
また、初回分は無料相談になるケースが多いので「ひとまず相談だけでもしてみたい」という方にもおすすめです。
なお、労働問題を未解決のまま放置すると証拠保全が難しくなり、慰謝料請求の時効も到来します。
労働問題を早く解決したいときは、ベンナビ労働問題の弁護士に相談してください。
労働相談に関するQ&A
電話で労働問題を相談するときは、以下のQ&Aも参考にしてください。
「電話相談したら会社にバレないか?」と気になっている方は、まず不安を解消しておきましょう。
労働相談はハローワークでも受け付けている?
ハローワークは職業相談に対応していますが、労働相談は受け付けていません。
労働問題が発生したときは、労働基準監督署や法律事務所、総合労働相談コーナーなどに連絡してください。
なお、退職後の再就職や、失業給付の相談であれば、ハローワークが受け付けてくれます。
労働相談は会社にバレる?
労働問題の相談窓口には守秘義務があるため、電話相談しても会社にはバレません。
労働基準監督署は会社に立ち入り調査する場合もありますが、通報者の氏名は明かされないので安心してください。
ただし、小規模事業所は社員数が少ないため、通報者が特定されてしまう可能性があります。
労働問題の発生状況から、事実を知っている社員が限定される場合も、会社にバレる恐れがあるでしょう。
なお、労働相談を理由に不利益な扱いを受けた場合、労働基準法第119条の規定により、会社側は6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金になる可能性があります。
会社側の逆恨みで不当解雇や減給などの処分を受けたときは、すぐに弁護士へ相談しておきましょう。
さいごに|労働相談は24時間体制の法律事務所を利用してみましょう
労働相談の窓口はいくつもあり、24時間体制の電話相談も受け付けているので、悩みを抱えているときは早めに連絡してみましょう。
職場の問題は自己解決が難しいため、悩みに応じた相談窓口を利用し、適切なアドバイスを受けておく必要があります。
ただし、労働相談の窓口はハラスメントの損害賠償請求や、残業代などの回収には対応していません。
労働問題を根本的に解決したいときや、夜間でも直接面談したいときは、24時間体制の法律事務所に相談するとよいでしょう。