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有給休暇を申請したら、会社は断ってはいけない?有給休暇の法的知識

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有給休暇を申請したら、会社は断ってはいけない?〜有給休暇の法的知識

「年次有給休暇(有給休暇、年休、有休)」とは、読んで字のごとく、

『労働者が給与を得つつ、仕事を休むことができる法律上の制度』です。

年次有給休暇は業種や業態、雇用形態にかかわらず、一定の要件を満たす従業員には必ず付与しなければならない、労働基準法で定められた労働者の権利なのです。

しかしながら、実際には

  • 「仕事が忙し過ぎて有給休暇なんてとれない」
  • 「あるのはわかっているけど、うちの会社は有給とかとれる雰囲気ではないんだよね…」

と、有給休暇を期限までに消化できず、権利を行使できない方も珍しくありません。

本ページでは、有給休暇とは何か、会社は有給休暇の取得を拒むことができるのか、など、有給を取得する際に役立つ知識をまとめています。

在職中はもちろん、退職の意思を表示した後でも、残っていた有給休暇を消化することでそのまま出社せず離職できますので、そういった労働者の権利についてよく理解して適切に有給を取れる人になりましょう。

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有給休暇は法律上の権利

まず最初に、有給休暇とは、一定の条件を満たす労働者には必ず与えられなくてはならない法律上の制度であることを、よく知っておきましょう。

つまり、労働者が「有給休暇を申請します」と言ったら、原則として会社は「ダメです」と言ってはならない、ということです。

労働法においては、使用者が、立場の弱い労働者に不当に過酷な労働条件を課して、自分だけ不当な利益を得るなどということを許さないよう、

労働条件や労働環境について、労働者の健康や権利を守るための様々な規定があります。

例えば、「休日」とは、「元々労働義務がない日」のことで、

原則として「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない」と定められています(労働基準法35条)。

いつが所定の休日かは、労働規約や就業規則などに明確に記載されているはずです。

休暇」とは、「本来労働義務がある日に、会社からその義務が免除され働かなくてもよくなる日」を言います。

労働基準法39条では、一定の条件を満たした労働者に対しては、会社は、「有給休暇を与えなければならない」と規定されています。
ですから、もともと有給休暇とは、通常だったら職場に行って働く日であるけれども、労働者が休暇を申し出た場合には、原則として、会社は定められた日数の範囲でそれを断ってはならないと、法律上定められている制度なのです。

これを知っているだけでも、有給休暇の申請が、知らない時より堂々とできる気がしませんか?

有給休暇を取得するのに、遠慮する必要はないのです。

もちろん、予定が入ったら出来るだけ早めに伝えるとか、超繁忙期は外すとか、それなりの配慮をすることは、お互い気持ちよく仕事をするためには必要とは思いますが、

必要以上に気を遣ったり、休暇をとるなんて悪い…とか、休んだら会社に迷惑がかかる、なんて思う必要はない性質のものなのです。

本来、そのくらいは休んで下さい、と国家をあげて取得を奨励している制度なのです。

法定有給休暇の日数

年次有給休暇は、業種・業態や、正社員・パートタイム・アルバイトなどにかかわらず、一定の要件を満たす労働者には必ず付与しなければならない労働基準法で定められた労働者の権利であると書きましたが、それはどんな要件なのでしょうか。

労働基準法39条には、「使用者は労働者を雇い入れた日から数えて6か月の間、継続して勤務し全労働日の8割以上出勤した者に対して、継続してまたは分割して10日の有給休暇を与えなければならない」と定められています。

ですので、法律で保障された有給休暇を取得するためには、

  1. その会社で6ヶ月以上継続して勤務していること
  2. 全労働日(所定の休日は除くということ)の8割上出勤していること

が要件になります。

2.については、業務上の怪我や病で休んでいる期間、法律上の育児休業や介護休業を取得した期間などは、出勤したものとみなして取り扱われます。また、会社都合の休業期間などは、原則として、全労働日から除外されます。
そして、6ヶ月以上継続勤務した人は、以下のように、以降1年ごとに付与される有給休暇の日数が増えます。

雇入れの日から起算した勤続期間 付与される休暇の日数
6か月 10労働日
1年6か月 11労働日
2年6か月 12労働日
3年6か月 14労働日
4年6か月 16労働日
5年6か月 18労働日
6年6か月以上 20労働日

e-Gov法令検索を参照し編集部作成

所定労働日数が週4日以下かつ所定労働時間が週30時間未満又は1年間の所定労働日数が48日から216日までのパートタイム労働者については、以下の日数が適用されます(労働基準法39条3項・労働基準法施行規則第24条の3)。

名称はパートタイムやアルバイトであっても、所定労働時間が週5日以上または週30時間以上であったり、年間労働日数が217日以上の場合には、通常の労働者と同じく上の表が適用されます。

また、1回の労働契約期間は短くても、契約を更新して通算6か月以上継続して働くようになった場合には通算した契約期間が適用されます。

週所定
労働時間
週所定
労働日数
1年間の所定労働日数
(週以外の期間に
よって労働日数が
定められている場合)
入れの日から起算した継続勤務期間の
区分に応ずる年次有給休暇の日数
6か月 1年 6か月 2年 6か月 3年 6か月 4年 6か月 5年 6か月 6年 6か月 以上
30時間以上 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
30時間未満 5日以上 217日以上
4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~168日 5日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~120日 3日 4日 5日 6日 7日
1日 48日~72日 1日 2日 3日

e-Gov法令検索を参照し編集部作成

以上は、法律上、最低限与えられなくてはならない有給休暇の規定ですが、会社によっては法定の日数よりも多くの日数を付与している会社も実際には多くあります。

会社独自の有給休暇制度は就業規則などに規定があります。

ご自分が、今何日分の有給休暇を持っているかは、給与明細などに記載されているの通常ですので、日頃からご自分で確認・管理しておきましょう。

時季変更権

前述のとおり、年次有給休暇を取得する日は、労働者が指定することによって決まり、使用者は指定された日に年次有給休暇を与えなければならないのが原則です(労働基準法39条5項)。

ただし、会社の都合も全く考慮されないわけではなく、「他の日にしてくれないか」ということは認められています。(時季変更権)

規定としては、「使用者は、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる(労働基準法39条5項但書)」です。

労働法は、その性質上、弱い立場の労働者を守るために定められている法律なので、会社が労働者の権利を侵害することに関しては厳しく解釈されるのが通常です。

よって、会社が簡単に、「その日に休暇は認めない」ということは、そう易々認められないことになっているから安心して下さい。

例としては、同じ日に多くの労働者が同時に休暇申請した場合で、他の人員確保がどうしても困難であるという具体的事情がある場合などが考えられますが、単に「業務多忙だから」というだけでは認められません。

有給休暇の義務化

平成31年(2019年)4月1日から、いわゆる働き方改革の一環として、有給休暇の取得率向上に向けて、労働基準法が改正されました。

これにより、年10日の有給を得ている労働者に対して会社は、5日は有給休暇を取得させることが労働基準法上の義務となります。

これまでは、有給休暇の取得申請は、労働者の権利であったことから、5日分に関しては会社の義務になったのです。

違いは何かというと、それまでは、労働者が権利として行使したら会社は断れない、という決まりだったのが、

今後は、もし労働者が自ら有給取得の権利申請をしなかったとしても、年5日分は、会社から休暇日を指定してでも、必ず休みをとらせなければならないことになったのです。

それだけ、有給休暇の申請を自らしないで、休暇をとらない労働者が日本には多かったということですね…

この改正により、会社はいずれにしても労働者に最低5日の有給休暇をとらせなければならないのですから、

会社から指定されずとも、自分の休みたいタイミングで、自分から有給申請を堂々とできるようになるといいですね。

有給休暇の時効消滅

せっかく法律上保障されている年次有給休暇ですが、これは2年で時効消滅してしまうことをご存知でしたか?(労働法115条)

会社によってこれより長く設定している場合もあるかもしれませんが、通常繰越が認められているのは2年くらいで、それ以上の有給休暇は取得しないまま消滅していくことはご存知の方も多いかもしれません。

なんとも勿体ないですね…

ですので、これまで有給休暇をあまり取得したことがなく、沢山残っている方は、ぜひ早めに残日数を確認して、せっかくの有給休暇が消えてなくなることがないよう、消化していきましょうね。

有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、ゆとりある生活を実現するという趣旨の制度です。

国民が、給与が得られることで安心して休むことができるように、国が法律で保障してくれている権利ですから、自らの健康管理やクオリティオブライフの実現のために、積極的に有給休暇を利用して、ご自分の人生を充実したものにしていきましょう。

働きやすい職場作り

もしこれまで慣行的に有給を切り出しにくい職場であっても、誰かが積極的に有給申請をしていくことによって、

周りの人も「なんだ、言えば普通に休み取れるんだ〜」となって、

徐々に、皆んながストレスを抱えずに、気楽に有給申請がしやすくなる職場になっていくとも思いますよ。

最初に切り出す時には勇気を伴うかもしれませんが、やってしまえばこっちのものです。

それにより、みんなが順番に有給をとりやすくなれば、仕事の疲れも上手く発散できて、プライベートも充実させやすくなって、働きやすい元気な職場になっていくのではないでしょうか?

ぜひ、これを読んだ方でそのような職場環境にある方には、率先して有給申請をして、自らの行動で、健康的で働きやすい職場作りの実現を試みてほしいものです(^.^)

勇気を出して有給休暇の申請を行っても、不合理に拒否してくるような会社や、威圧的な態度に有給を取得させないような会社にお勤めの場合は、

ハッキリ言って、それはいわゆるブラック企業です。

世の中には、ホワイト企業は沢山あるのです。

正しい知識を持って、そんな違法行為を行う会社が普通だと思う考えは捨て去って、もっと健康的で働きやすい職場を探すのがあなたのためです。

法律上の権利である有給休暇すらろくに取得させてくれないような会社をもう辞めたい方は、退職代行Jobsにご相談してみてはいかがでしょうか。

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本記事は退職代行の教科書を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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