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労働基準監督署へ相談できる内容とは?相談の流れからその後の対応まで解説

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労働基準監督署へ相談できる内容とは?相談の流れからその後の対応まで解説

労働基準監督署は、労働基準法、労働安全衛生法などの法令に反する労働に関するトラブルなどを相談・通報できる機関です。

「職場で何かあれば労働基準監督署へ相談」と考えている方も多いでしょう。

しかし、具体的にどのような相談ができてどのような対応をしてくれるかまで知っている方は少ないのではないでしょうか。

本記事では、労働基準監督署へ相談・通報できる内容や対応範囲について解説します。

労働基準監督署で対応できる範囲は限られているので、場合によっては弁護士への相談もご検討ください。

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労働基準監督署に相談・通報できる内容3つ

労働基準監督署は、会社が労働関連法を遵守しているかを監督する機関です。

もし会社が労働関連法に違反している場合には、行政による指導などをおこないます。

受け付けている相談内容は、以下の3つです。

労働条件関係 賃金、労働時間、解雇、退職金 など
労災保険関係 仕事中のけが等、通勤途中のけが など
安全衛生関係 労働災害防止、職業性疾病防止 など

以下で、より具体的な相談できる内容について紹介します。

なお、以下で紹介する内容は「労働者側」からの相談を例にしていますが、実際には雇用側(会社)からの相談も受け付けています。

労働条件関係

労働条件関係では、以下のような相談が可能です。

  • 求人や採用に通知された内容と実際の賃金が異なる
  • 雇用条件が不透明
  • 未払いの賃金がある
  • 突然解雇された

上記のほかにも、労働条件で不透明な部分があれば相談できます。

労災保険関係

労災保険関係では、以下のような相談が可能です。

  • 仕事中のケガを労災保険で治療したい
  • 仕事中のケガを労災扱いにしてもらえない
  • 通勤中に事故を起こしてしまった場合の扱い
  • 労災かくしに関する相談

上記のほかにも、労災関係で疑問や不満があれば、相談できます。

安全衛生関係

安全衛生関係では、以下のような相談が可能です。

  • クレーン運転などでの資格や免許を紛失した場合の対応
  • 会社で健康診断をしてくれない
  • 健康管理手帳の交付を受けたい

上記のほかにも、安全衛生関係で疑問や不満があれば、相談できます。

労働基準監督署に相談・通報できる労働問題の具体例

労働基準監督署に相談・通報される内容は、労働条件に関するものが多いです。

各労働基準監督署によって異なりますが、令和2年上半期の甲府労働基準監督署のデータでは、以下のような結果となりました。

  • 労務管理…68%
  • 個別労働紛争…30%
  • その他(安全衛生、労災、セクハラほか)…2%

【参考元】窓口に寄せられた労働相談の状況|厚生労働省

以下では、労働問題として寄せられる内容をいくつかピックアップして紹介します。

残業代や給与の未払い

賃金の支払いは労働基準法第24条において定められているため、給与の未払いは労働基準法違反となります。

労働基準法第24条においては、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならないとされています。既に働いた分の賃金は、当然に支払われなければなりません。
引用元:労働基準法第24条(賃金の支払)について|厚生労働省

もし賃金を支払われていない場合は、労働基準監督署に相談すれば行政指導をおこなってくれる可能性が高いです。

長時間の時間外労働

長時間労働は、違法となる可能性が高いので、労働基準監督署に相談しましょう。

基本的な労働時間は、1日8時間・週40時間までと定められています。

もし法定労働時間を超える残業をする場合は、労働基準法第36条にもとづく労使協定(サブロク協定)を結ばなければいけません。

労働基準法に定める労働時間の原則は、1日8時間、1週40時間とされていますが、労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、協定で定める範囲内で1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて、労働させることも可能です。
引用元:労働基準法第36条(時間外・休日労働協定)について|厚生労働省

ただし、サブロク協定を結んでいても、協定書に記載された内容を超過するような場合は労働基準法違反となり、指導や勧告の対象となります。

有給休暇の取得拒否

有給休暇を取得させてもらえない場合は、労働基準監督署に相談して解決できる可能性があります。

基本的に有給休暇は従業員が希望すれば取得できるものだからです。

ただし、従業員が指定した日に有給休暇を取得させることが事業の正常な運営を妨げる場合には、会社は、時季変更権を行使することができます(労基法第39条5項)。

この時季変更権を行使できる事由がない限り、会社は有給取得を拒否することはできないので、指導や勧告の対象となる可能性があります。

退職を受け入れてもらえない

期間の定めのない雇用契約の場合、当事者はいつでも解約の申し入れができることになっており、退職届を提出するなどして退職の意思を示してから2週間経過すれば、雇用契約は終了することになっています(民法第627条1項)。

ですから、人手不足で業務が回らなくなるなどの会社側の都合で退職を受け入れてもらえないことは、違法となる可能性が高いため、労働基準監督署へ相談できます。

労災保険を受給できない

従業員を雇用する場合は、労災保険への加入が義務付けられています。

そのため、仕事が原因でケガをしたり病気になったりしたときには、労災保険から治療費や休業補償などが受けられます。

しかし、もし会社が請求に協力してくれない場合は、労働基準監督署に相談すれば、解決できる可能性があります。

労働基準監督署に相談・通報した場合の対応

労働基準監督署に相談・通報した場合に、どのような対応をとってくれるのかについて見ていきましょう。

基本的には、以下の流れでおこなわれます。

  • 立ち入り調査
  • 文書指導
  • 是正・改善報告
  • 送検

以下で、それぞれの具体的な内容について解説します。

立ち入り調査

労働基準監督署へ通報して、調査が必要と判断された場合は、会社への立ち入り調査がおこなわれます。

あくまで「必要と判断された場合」なので、必ず実行されるわけではありません。

立ち入り調査の内容は事案に応じて異なりますが

  • 関係者への事情聴取
  • 帳簿書類の確認
  • 現場検証

などです。

文書指導

立ち入り調査がおこなわれたあと、法令違反の事実が認められた場合は文書による指導がおこなわれます。

文書による指導は、以下の2種類があります。

是正勧告 勧告指示を出す警告書類。是正期限までに是正報告書を提出しなければならない。
指導票 法令に基づいて改善することが望ましいと判断された場合に出される文書指導。指導された場合は改善報告をおこなう必要がある。

是正・改善報告

文書指導を受けたあとは、会社側は是正・改善をして労働基準監督署へ報告しなければなりません。

報告方法は、是正報告書等とあわせて、改善していることを示す証拠資料を提出します。

ただし、是正が認められない場合は、労働基準監督署が再度調査します。

労働基準監督署が問題ないと判断して、調査や指導は終了です。

悪質な場合は送検

会社が文書指導などによる是正・改善に従わない場合は、悪質なケースと判断され、労働基準監督署が会社を送検して、刑事事件となるケースがあります。

もし送検された場合は、検察官による証拠状況や事案内容などを総合的に考慮して、起訴か不起訴かが判断されます。

起訴となった場合は、裁判に移行します。

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労働基準監督署に相談・通報できない内容

労働基準監督署では、対応できない内容もあります。

なぜなら、労働基準監督署はあくまで労働関連法に抵触する内容について対応している機関だからです。

そのため「ハラスメント」や「異動・解雇・懲戒処分」に関する内容は対応してもらえないケースがほとんどです。

以下で、それぞれに適している相談先について紹介します。

パワハラ・セクハラなどのハラスメント問題

パワハラやセクハラなどのハラスメント問題は、以下の機関に相談しましょう。

雇用・環境均等部(室) 各都道府県に設置されており「ハラスメント・育児介護休業の取得・有期雇用・労働施策総合推進法」などの相談にのってくれる機関。
法テラス 法的な対応をしたい場合に、弁護士などの適切な相談機関を紹介してくれる。
弁護士費用などの立て替えも相談できる。
みんなの人権110番 「差別・虐待・ハラスメント」など、さまざまな人権問題についての相談を受け付けている相談電話。

異動・解雇・懲戒処分

正当な理由のない「即時解雇・不当な解雇・異動処分・懲戒処分」などについては、以下の機関に相談しましょう。

労働局 労働基準監督署の上部組織にあたる、厚生労働省所管の機関。
情報提供・助言・指導・あっせんまでを無料でおこなってくれる。
弁護士 損害賠償請求などの法的手続きをする際に、法的な観点から判断し、対応してもらえる。

労働基準監督署に相談・通報するメリット

労働基準監督署に相談・通報するメリットは「気軽に相談できて問題の解決を図れる」ことといえます。

なぜなら、以下3つの特徴があるからです。

  • 労働関連の法律に詳しい職員が相談に乗ってくれる
  • 無料で相談できる
  • 会社へ指導をおこなってくれる

以下で、それぞれの特徴について具体的に解説します。

労働関連の法律に詳しい職員が相談に乗ってくれる

労働基準監督署では、労働関連法について専門的な知識をもつ職員が対応してくれます。

相談に応じてくれるのは、日頃から会社の監督にあたっている職員のみです。

そのため、労働問題に関する内容であれば、正しい知識でアドバイスをもらえます。

無料で相談できる

労働基準監督署への相談・通報する際に、費用はかかりません。

なぜなら、労働基準監督署は適切な労働条件・労働環境を確保することを目的とした非営利組織だからです。

無料で専門家に相談できるのは、労働基準監督署ならではの大きなメリットといえます。

会社へ指導をおこなってくれる

労働基準監督署は、相談を受けて問題があると判断すれば、会社に対して指導をおこなってくれます。

指導までに留まるケースが多くはあるものの、ほとんどの会社は業務を改善します。

これにより、現状の問題解決だけではなく、今後の会社環境もよくなります。

労働基準監督署に相談・通報する方法3つ

労働基準監督署へ相談する方法は、3つです。

以下に受付時間などをまとめましたので、参考にしてください。

相談方法 受付時間 相談先
窓口 平日8:30~17:15 全国の労働基準監督署
労働条件相談ほっとライン 平日:17:00~22:00
土日祝:9:00~21:00
0120-811-610
労働基準関係情報メール窓口 24時間365日 詳しくはこちら

そのほか、厚生労働省のホームページで各トラブルに合った機関を紹介していますので、そちらも参考にしてください。

【参考】労働基準行政の相談窓口

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労働基準監督署へ相談・通報する際の注意点

労働基準監督署への相談・通報は、あくまで一つの手段と考えてください。

なぜなら、労働基準監督署へ相談しても解決につながらないケースがあるからです。

以下に、理解しておくべき3つの注意点について解説しますので、参考にしてください。

内容によっては対応してもらえない

労働基準監督署へでは、どのようなトラブルにも対応しているわけではありません。

なぜなら、労働基準監督署で対応してくれることは、労働基準法等の範囲内となるためです。

ですので、対応外の内容については、別の機関へ相談しましょう。

会社に対して命令はしてもらえない

労働基準監督署では、会社に対して「指導」までしかできません。

あくまでも「違法を是正するよう指導する」のが労働基準監督署の役割です。

そのため、仮に未払い給料などがあった場合でも「支払いなさい」といったような命令はできません。

確実に債権回収をしたい場合であれば、弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

労働基準監督署へのメール相談はあくまで「情報提供」にしかならない

労働基準監督署にはメールで気軽に相談する方法もありますが、解決にはつながりません。

なぜなら、メールでの相談はあくまで「情報提供」としてしか受け入れられないからです。

公式のメール窓口にも、以下のような記載があります。

お寄せいただいた情報は、関係する労働基準監督署・都道府県労働局において、立入調査対象の選定に活用するなど、業務の参考とさせていただきます。なお、受け付けた情報に関する照会や相談についてはお答えしかねますので、あらかじめ御承知おきください。
引用元:労働基準関係情報メール窓口|厚生労働省

労働基準監督署へ相談・通報する際は証拠・記録を用意する

労働基準監督署へ相談・通報する際には、証拠や記録を用意しておきましょう。

違反を証明するものがなければ、対応もらえない可能性があるからです。

具体的な証拠となるものは、以下の5つです。

  • 給与明細
  • シフト表
  • 雇用契約書
  • メール
  • 指示書

また、相談にいたるまでの経緯をまとめた資料なども用意しておくとよいでしょう。

労働基準監督署以外に労働問題を相談できる窓口

ここまでで解説したように、労働基準監督署では対応できる問題や会社に対しておこなえる措置が限定されてしまいます。

そのため、もし労働基準監督署への相談・通報で解決が難しそうな場合には、以下の窓口の利用も検討してみましょう。

相談できる内容 連絡先
労働問題に強い弁護士の無料相談 法律に関する労働問題全般 ベンナビ
働く人の「こころの耳」相談 働く人のメンタルヘルスサポート 公式HP
労働委員会 人事、経営/賃金/労働条件/人間関係 など 労働委員会所在地
労働局 あらゆる分野の労働問題 労働局所在地一覧

さいごに|労働基準監督署で解決できない問題は弁護士へ

労働基準監督署は、労働問題に関する気軽な相談・通報をするうえでは最適な機関といえます。

しかし、解説したように、労働基準監督署に相談・通報すればどのような問題でも解決できるわけではありません。

とくに会社との交渉や訴訟が必要なケースにおいては、弁護士の存在が不可欠です。

もし現在悩まれている問題が労働基準監督署への相談・通報で解決が難しそうであれば、ぜひ弁護士へご相談ください。

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本記事は退職代行の教科書を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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