給料の未払いが発生すると、生活に大きな影響を及ぼします。
しかし、会社の上司に相談してもまともに取り合ってくれず悩んでいる方もいるでしょう。
給料の未払いに関する問題は、自分で直接会社と交渉をしてもうまくいかないケースが多いため、弁護士の無料相談をするのがおすすめです。
本記事では、給料未払いを弁護士に無料相談できる窓口や、給料未払いへの対処法、給料未払いに関する問題を弁護士に相談するメリットをわかりやすく解説していきます。
目 次
未払い給料の請求を弁護士に相談・依頼するメリット5つ
給料未払いの相談先の一つとして挙げられるのが、弁護士です。
未払い給料の請求を弁護士に相談・依頼するとさまざまなメリットがありますが、以下では代表的なメリットを5つ挙げて具体的に解説します。
①未払いの給料額を正確に計算してもらえる
未払いの給料が発生している場合、まずはどのくらいの未払いが発生しているかを正確に計算することが必要です。
残業代や休日出勤の場合は割増賃金となるため、計算のためには正確な知識が求められます。
弁護士は相談者からのヒアリングやタイムカードなどから未払い給料を正確に計算することが可能です。
支払いが遅れている場合は「遅延損害金」を上乗せして請求できる
給料の未払い状態が続き支払が遅れている場合、遅延損害金が発生しています。
弁護士に依頼すれば、遅延損害金についても正確に計算をおこない、金額を上乗せして請求することができます。
②給料未払いの証拠収集についてアドバイスしてくれる
給料の未払いを会社に請求するためには、未払いであることの証拠を収集することが必要となってきます。
弁護士は労働審判や訴訟を見据えた証拠の収集に慣れていますので、弁護士に相談することにより適切な証拠の収集についてのアドバイスをもらうことができます。
弁護士なら証拠がなくても開示請求が可能
証拠が無いと裁判での立証が難しいため、少しでも多くの証拠を集めなければなりません。
弁護士に依頼すれば、本人のみでは収集が難しい証拠も収集できる場合があります。
たとえば、弁護士会照会という方法により、照会先の会社や公的機関などに証拠を開示してもらうことが可能です。
証拠が無くても諦めずまずは弁護士に相談してください。
③会社との交渉や請求対応を全て任せられる
弁護士は、労働問題に関するあらゆる法的トラブルについて本人を代理する権限を有しています。
会社との交渉や未払い賃金の請求について、本人を代理してくれますので、本人の時間的・精神的負担を軽減することが可能です。
④未払いの給料を回収できる確率が上がる
弁護士は過去の裁判例や法令に基づいた法的な主張をしてくれるので、未払いの給料を回収できる確率が高まります。
本人が直接交渉をしても会社が応じてくれない場合でも、弁護士が代理をすることにより迅速に解決できることもあります。
⑤裁判以外での解決方法も提案してもらえる
弁護士と聞くと訴訟などの法的措置を想起しがちですが、必ずしも法的措置での解決のみを提案するわけではありません。
個々のケースにおいて法的措置による解決が妥当でない場合には法的措置以外による解決方法も提案してくれます。
たとえばさきほど説明したような会社との交渉による和解や、労働基準監督署への報告などが考えられます。
会社との関係悪化を恐れて法的措置を取りたくない人にとっても安心です。
未払いの給料を弁護士に依頼して請求する流れ
ここからは、未払いの給料を弁護士に依頼した場合の具体的な流れを6つの段階に分けて説明します。
弁護士に相談後、正式に依頼する
未払いの給料に関して、まずは近くの法律事務所を探して弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談する前に、以下のような点を準備しておくとスムーズです。
準備を十分にしておくことにより、迅速に解決できる可能性が高まります。
- 未払いに至った経緯
- 未払い給料の額
- 証拠の有無
- 会社との交渉の有無
相談の結果、弁護士に依頼することが決まったら委任契約を結びます。
会社との交渉
未払いの給料の請求について、弁護士が代理人として会社と交渉をしてくれます。
本人が交渉してもなかなか応じてくれない場合も、弁護士が代理人となったら会社が態度を変えて速やかな解決に至る場合もあります。
弁護士が交渉を代理しても解決に至らない場合、次の段階へ進むことになります。
内容証明郵便
労働審判や訴訟を見据えて証拠として残すために弁護士に代理人になってもらい、未払いの給料の請求を弁護士名で内容証明郵便によって会社に対し送付しましょう。
内容証明郵便は、会社に対し請求を行ったことを証明してくれる郵便です。
また、弁護士名で内容証明郵便を出すことにより、会社の真剣な対応を促す効果があります。
労働基準監督署への申告
未払いの給料がある場合、労働法令に違反していることになりますので、弁護士を通じて労働基準監督署にも申告してもらいましょう。
労働基準監督署に申告することで会社に対し是正勧告をしてもらえる場合もあり、その結果解決に至るケースもあります。
労働審判
会社が任意の交渉に応じない場合、労働審判を請求します。
労働審判とは、会社との労働トラブルを迅速に解決するために設けられた手続きで、原則として3回以内の期日で終了することになります。
訴訟
労働審判は迅速な解決が可能ですが、労働審判が対応していない労働トラブルもあるため、その場合は訴訟によって争うことになります。
訴訟は労働審判に比べて時間がかかりますが、厳格な証拠調べによって慎重な審理が可能です。
未払い給料の請求はどんな弁護士に依頼すべき?選び方のポイント
未払いの給料を請求するために弁護士に相談する場合、どのような弁護士に相談すべきでしょうか。
以下では、弁護士の選び方のポイントを4つ挙げて解説します。
未払い給料請求や労働分野に注力しているかどうか
全ての弁護士が労働問題に精通しているわけではありません。
未払いの給料を請求するためには、労働問題に強い弁護士に相談すべきでしょう。
労働分野に注力している弁護士かどうかは、法律事務所のホームページを確認すればわかります。
たとえば、得意分野として労働分野を挙げているか、労働分野の実績がどれくらいあるのか、労働問題の解決事例を掲載しているかなどをチェックしてみましょう。
親身に相談にのってくれるかどうか
労働問題に詳しい弁護士であっても親身に対応してくれるかどうかは別問題です。
相談した際に、秘書に任せっきりの弁護士や、親身に相談に乗ってくれない弁護士は避けましょう。
話がわかりやすく、弁護士費用が明確かどうか
弁護士によっては難解な法律用語を並べてわかりにくい説明をしてくる場合があります。
相談した際に話がわかりにくい弁護士は今後もわかりにくい説明をされてトラブルになる可能性もあるため、避けるようにしましょう。
また、費用についてのトラブルを避けるため、弁護士費用が明確かどうかもチェックするようにしてください。
自分との相性がよいかどうか
弁護士との相性も重要です。
偉そうな態度だったり高圧的な態度の弁護士は、たとえ労働問題に関する経験が豊富であっても依頼しないほうがよいでしょう。
自分と相性がよいかどうかを相談の際にチェックしてみてください。
未払い給料請求にかかる弁護士費用
未払い給料の請求を弁護士に依頼する場合、弁護士費用がかかります。
どの段階でどの程度の費用がかかるのか知っておきたい人のために、相談段階と依頼段階における弁護士費用の相場と、おすすめの弁護士を解説します。
未払い給料の請求をするなら無料相談に対応している弁護士がおすすめ
未払いの給料の相談をする際には、相談費用がかかります。
一般的な相場は30分5,000円(税別)ですが、相談無料に対応している法律事務所も増えてきています。
費用が気になる人は、無料相談が可能な法律事務所を探して相談してみましょう。
弁護士費用が心配なら「完全成功報酬型」の弁護士を選ぶのも手
相談の結果、弁護士に依頼することが決まった場合、弁護士費用がかかります。
弁護士費用は大きく分けて着手金と報酬金の2種類があり、着手金は事件を依頼する際に支払う費用です。
着手金は満足いかない結果であった場合であっても返金されることはありません。
一方、報酬金は、会社から未払いの給料を回収できた際に、回収額の一部を報酬として支払う費用になります。
通常は10%~20%前後ですが、回収金額によって異なりますので詳しくは弁護士に確認してみてください。
なお、完全成功報酬型の法律事務所もあります。
完全成功報酬型とは、未払いの給料を回収できた場合にのみ費用が発生するという報酬体系であり、回収できなければ弁護士費用は発生しません。
着手金が不要であるため、費用が払えない人は完全成功報酬型の法律事務所を検討しましょう。
給料未払いについて弁護士に以外に相談できる窓口5選
給料未払いについては弁護士に相談する以外にもさまざまな窓口が設けられています。
窓口ごとに特徴があるため、自身の悩みに合った窓口を選んで相談してみましょう。
ただし、以下で挙げた相談窓口では個別の紛争解決の代行まではおこなってくれないため、会社との紛争解決を検討している人は弁護士の無料相談を活用するようにしてください。
労働組合|勤務先に労働組合がある方
労働組合は、労働者の権利を実現するために労働者が団結して会社と交渉をするための団体です。
給料未払いについて相談にのってくれたり、組合によっては会社に未払いの給料を請求してくれるところもあるようです。
労働組合は会社によっては設置されていない場合もありますので、自分の会社に労働組合があるかを確認してみましょう。
総合労働相談コーナー|どこに相談していいかわからない方
総合労働相談コーナーは、賃金や職場のトラブルなど、あらゆる労働問題を対象として相談をすることができます。
専門の相談員が無料で相談に対応してくれるため、まずは悩みを聞いてもらいたい人におすすめです。
総合労働相談コーナーは全国各地に設置されています。
詳しくは厚生労働省のホームページを参照してください。
労働条件相談ほっとライン|未払い給料に詳しい相談員に相談したい方
「労働条件相談ほっとライン」は、違法な時間外労働・過重労働による健康障害・賃金不払残業などの労働基準関係法令に関する問題について、専門知識を持つ相談員が、法令・裁判例をふまえた相談対応や各関係機関の紹介などをおこなう電話相談窓口です。
厚生労働省の委託事業であり、安心して相談できます。
匿名でも相談可能ですので、匿名で相談員に相談したい人におすすめです。
労働基準監督署|労働法違反か確認したい方
労働基準監督署は、会社が労働法令に違反していないかを監督し、勧告や指導を行う機関です。
不当解雇や賃金の未払いなど、労働法令に違反する可能性が高い場合、労働基準監督署に相談することができます。
労働基準監督署は全国にあるため、近くの労働基準監督署を探して相談してみてください。
労働基準監督署の所在地の一覧は以下のページを参照してください。
【参考元】厚生労働省|労働局の所在地一覧
弁護士|労働審判や訴訟を検討している方
総合労働相談コーナーや労働局は、労働問題の相談に乗ってくれますが、個別事案の紛争解決をしてくれるわけでもありません。
会社との交渉や法的措置を検討している場合、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は労働問題に関するあらゆる法的手続きを代理する権限を持っていますので、法的手段によって納得いく解決をしたい人におすすめです。
近くの法律事務所を検索して相談してみてください。
未払い給料を相談するときの注意点
未払い給料を相談するときは、注意点がいくつかあります。以下では、3つの注意点を紹介した上で説明します。
警察は取り扱ってくれない
未払い給料はあくまで民事的な問題のため、刑事事件を取り扱う警察では取り扱ってくれません。
弁護士や労働問題の相談窓口に相談しましょう。
未払いの証拠収集
未払い給料を請求するためには、未払いであることの証拠が必要となります。
証拠なしでは会社はまず取り合ってくれませんので、適切な証拠を収集しましょう。
時効
未払い給料の請求権には時効があります。
未払い給料を請求するか悩んでいると、時効により請求できなくなる可能性があります。
当分の間、消滅時効期間は3年ですが、民法の改正により原則5年間に延長されたため、未払い給料を請求する場合は早めに相談するようにしましょう。
給料未払いでよくある相談
未払い給料でよくある相談を紹介します。
自分の状況に当てはまるか参考にしてみてください。
基本給が支払われない
会社の業績悪化などを理由として、基本給が支払われないケースがあります。
この場合明らかに労働基準法に違反しますので、速やかに弁護士などに相談するようにしましょう。
労働条件と異なる
勤務日数が労働条件と異なることにより勤務日数に応じた給与が支払われないなどのケースもあります。
労働条件との不一致については弁護士などに相談して労働条件を確認してもらうようにしましょう。
残業代が支払われない
みなし残業代の制度を悪用してサービス残業をさせたり、割増賃金の計算が異なっている場合があります。
残業代の計算には労働法令の正確な知識が必要ですので、弁護士などに相談して正確な残業代を計算してもらうようにしましょう。
さいごに|未払いの給料を請求したい方は弁護士へ相談を
未払い給料については会社が交渉に応じてくれない場合もあり、一人で悩んでしまうことも多いでしょう。
しかし、未払い給料の請求には時効があり、時間が経つと請求ができなくなる可能性があります。
まずは弁護士に相談して証拠収集のアドバイスをもらい、速やかに会社との交渉をスタートしましょう。
会社が交渉に応じない場合、労働審判や訴訟によって未払い給料の回収を図ることも可能です。