- 「退職代行を利用したせいで会社から損害賠償を請求されたらどうしよう」
- 「退職を理由に損害賠償を請求されるケースはあるの?」
本記事では、このような悩みを抱えている方に向けて、退職代行の利用で損害賠償を請求される可能性について詳しく解説します。
損害賠償請求のリスクを回避する方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
退職代行の利用で損害賠償を請求されるケースはほとんどない
退職代行の利用によって、会社から損害賠償を請求される可能性はほとんどありません。
その理由は、主に以下の2つです。
- 社員一人のために損害賠償する会社はまれ
- そもそも退職代行の利用自体が損害賠償請求の理由にならない
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
社員一人のために損害賠償をする会社はまれ
損害賠償請求の手続きを進めるためには、多くの時間とコストがかかります。
企業としても、手続きにかかる手間や費用に見合ったリターンを得られるとは限らないため、従業員一人のために損害賠償を請求するケースはほとんどないといってよいでしょう。
そもそも退職代行の利用自体が損害賠償請求の理由にならない
退職は労働者の権利であり、退職代行を利用して会社を辞めたからといって、それ自体が損害賠償請求の根拠になることはありません。
たとえ会社から「退職代行を利用するなら損害賠償を請求する」と告げられたとしても、請求が認められる可能性は低いでしょう。
会社も請求が認められないことは理解しているはずなので、単なる脅しに過ぎない場合が大半です。
退職によって損害賠償が請求されるケース
退職代行を利用しても、損害賠償を請求される可能性はほとんどありません。
しかし、なかには実際に損害賠償を請求されたケースも存在します。
ここからは、退職によって損害賠償を請求されるケースについて詳しく解説します。
労働者に何らかの義務違反があり、損害が発生した場合
従業員側になんらかの義務違反があり、それにより会社に損害が生じた場合は、損害賠償を請求される可能性があるでしょう。
このときポイントとなるのが、従業員の義務違反と会社の具体的損害の間に因果関係があるか否かです。
たとえば、実際に会社の利益が減少していたとしても、退職との因果関係がなければ損害賠償請求が認められることはありません。
ただし、退職までのプロセスにおける義務違反によって、会社に実害を与えてしまった場合は、損害賠償を請求される可能性が高まります。
損害賠償を請求される可能性がある行為の具体例
退職代行の利用自体は問題ないものの、以下のいずれかのケースに当てはまる場合は会社から損害賠償請求を起こされる恐れがあります。
- 無断欠勤を繰り返している
- SNSなどで会社や社員の悪口を書いた
- 機密情報の持ち出しや削除などで損害が発生した
- 退職前のトラブルですでに賠償請求をされている
身に覚えがある場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。
無断欠勤を繰り返している
退職代行を利用する方のなかには、精神的に追い詰められて、出社が困難になってしまうケースが多いものです。
しかし、精神的につらいからといって無断欠勤を繰り返えされる場合は、退職の際に損害賠償を請求される恐れがあります。
業務が滞ってしまったり、取引先との関係が悪化してしまったりと、会社に損害を与える原因になりかねたいためです。
また、無断欠勤を2週間以上続けると、懲戒解雇が認められる可能性があります。
懲戒解雇扱いとなると、転職活動に支障が出たり、退職金が満額支給されなかったりと、さまざまな弊害が生じるリスクがあるため注意が必要です。
同僚や取引先に迷惑をかけないためにも、出勤が困難な場合は欠勤の連絡を入れたうえで、早めに退職代行サービスに相談しましょう。
SNSなどで会社や社員の悪口を書いた
SNSで会社や社員の悪口を書くなどした場合も、損害賠償請求の対象となる恐れがあります。
X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSは匿名で利用できますが、誹謗中傷を繰り返していると会社が情報開示請求を進めるかもしれません。
情報開示請求により個人が特定されれば、損害賠償請求に移行する可能性はゼロではないでしょう。
個人サイトや口コミサイトでの退職エントリーも対象となるため、退職後も十分注意しましょう。
機密情報の持ち出しや削除などで損害が発生した
会社の機密情報を持ち出した場合も、損害賠償を請求される可能性があります。
特に注意したいのが、競合他社に転職する場合です。
転職活動中や転職後に前職で知り得た情報を活用すると不正競争防止法違反となり、前の会社から損害賠償を請求される恐れがあります。
また、機密情報を削除したことで会社に損害を与えた場合も、同様に損害賠償請求の対象となる可能性があるでしょう。
退職前のトラブルですでに賠償請求をされている
退職前のトラブルですでに損害賠償を請求されている場合は、当然ながら退職後も誠実に向き合う必要があります。
退職は労働者の権利ではありますが、逃げるように退職してもトラブルが解決したことにはなりません。
むしろ一方的に退職することによって怒りを買い、損害賠償を請求されるリスクを高めてしまいます。
情報流出や備品の紛失などのトラブルを抱えている場合は、弁護士に相談しながら対応を進めていきましょう。
退職について損害賠償が認められた事例
ここからは、退職について損害賠償が認められた2つのケースを紹介します。
突然の退職で480万円の損害賠償請求が認められた事例
突然の退職により会社に損害を与えたとして提訴され、480万円もの高額な損害賠償請求が認められた事例です。
Aさんはプログラマーとして、パチスロ関連のソフトウェア開発業務に従事していましたが、仕事のやり方や内容について指摘を受けると、引き継ぎ作業を一切おこなうことなく失踪してしまいます。
その際、会社の連絡先情報を削除し、その後も連絡を取らないまま競合他社に転職しました。
会社は、突然失踪したAさんの仕事を穴埋めするために支出した外注費用500万円のほか、受注機会を逃したことによる損害4,496万6,875円が損害にあたるとして、損害賠償を請求しました。
結果的に請求が認められたのはそのうちの480万円でしたが「引き継ぎ作業を怠った場合は賠償義務を負う」とここまで明確に判断した事例は少なく、重要な判例として知られています。
引き継ぎ作業に法的な義務はないものの、この事例のように、外注費用や失注などの具体的な損害を与えた場合は、損害賠償を請求される恐れがあります。
高額な賠償金が認められるケースもあるため、退職の際には引き継ぎ作業を含めて誠実に対応することが大切です。
【参考】知財高裁平成 29 年 9 月 13 日判決|知的財産高等裁判所
入社後すぐの退職で70万円の損害賠償請求が認められた事例
退職による損害賠償請求については「ケイズインターナショナル事件」という判例が広く知られています。
これは、入社後すぐの退職により会社に損害を与えたとして、70万円の損害賠償請求が認められたという判例です。
BさんはX社の担当営業として配属されましたが、入社後すぐに病気を理由に退職しました。
これによりX社との契約は解除され、会社は1,000万円の損失を受けたとして、Bさんと交渉の末に「Bさんから会社へ200万円を支払う」という念書を取り付けます。
しかし、Bさんがこの支払いを拒否したため、会社は支払いを求めて提訴しました。
裁判所は「実損額はそれほど多額ではない」「労務管理に欠ける点があった」と判断しつつも、Bさんの対応にも問題があったとして70万円の支払いを命じました。
なお、裁判では、Bさんが会社に対して根拠のない非難を繰り返し、話し合いによる解決を断固拒絶したという事実も勘案されています。
このようなケースはまれではありますが、労働者が退職する際に会社への義務違反があり、これにより具体的な損害を与えた場合は、裁判所が損害賠償請求を認める可能性があると考えられます。
【参考】裁判例|確かめよう労働条件
サイト名 | 特徴 | 料金 | 公式リンク | 料金 / 公式 |
---|---|---|---|---|
おすすめNo.1
弁護士監修安価&信頼◎ |
当サイト限定!
25,800円〜
|
当サイト限定!
25,800円〜
|
||
即日退職可能!
会社との面倒な
やりとり不要!
|
24,800円
|
24,800円
|
||
即日退職可能!
退職成功率100%
追加費用一切なし
|
24,000円〜
|
24,000円〜
|
退職代行の利用で損害賠償請求のリスクを回避する方法
退職代行の利用で損害賠償を請求されるリスクを下げるためには、以下の3つのポイントを押えることが重要です。
- 引き継ぎ資料を作成しておく
- 会社の就業規則に沿って退職する
- 弁護士の退職代行サービスを利用する
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
引き継ぎ資料を作成しておく
突然の退職で480万円の損害賠償請求が認められた事例のように、引き継ぎを一切せず逃げるように退職すると、会社から損害賠償を請求される恐れがあります。
突然担当者が不在になることで業務が滞ったり、取引先との関係が悪化したりと、会社に損害を与えてしまう場合があるためです。
それにより、外注費用の支出や失注などの具体的な損害が発生すれば、裁判所が損害賠償請求を認める可能性が高まってしまいます。
同僚や取引先に迷惑をかけないためにも、会社から引き継ぎ作業を求められた場合はできるだけ応じるようにしましょう。
退職代行サービスを利用して会社を辞めるなら、事前に引き継ぎ資料を作成しておくのがおすすめです。
引き継ぎに必要な内容を書類にまとめておけば、出社不要で引き継ぎ作業を完了させられます。
具体的には、以下のような内容を記載するとよいでしょう。
- 担当業務の概要
- 業務全体の流れ
- 業務の手順
- 業務の期間や期限
- 関係者の氏名・連絡先
- 取引先の連絡先
- 伝達事項(よくあるトラブルや対処法など)
引き継ぎについて不安がある場合は、退職代行サービスにあらかじめ相談しておくとスムーズです。
退職連絡の際に引き継ぎについても確認してもらえば、のちのちのトラブルを回避することにつながります。
会社の就業規則に沿って退職する
会社の就業規則に則って退職すれば、損害賠償を請求される可能性はほとんどありません。
なお、就業規則の内容が法律の規定とあまりに異なる場合は無効となるケースもあります。
しかし、法律を盾に一方的に退職すると、会社から損害賠償を請求されるリスクが高まってしまうでしょう。
そのため、会社の就業規則はできる限り遵守するのが無難です。
退職に関する取り決めについては、会社の就業規則に明記されています。
円満に退職するためにも、就業規則は事前にしっかり確認しておきましょう。
また、就業規則の内容を把握しておけば、退職代行サービスに問い合わせる際も相談すべき内容を明確にできます。
たとえば、就業規則に「退職する場合は1ヵ月前に申請する」と明記されていたら、退職スケジュールについてより詳細に打ち合わせすることが可能です。
弁護士の退職代行サービスを利用する
会社から損害賠償を請求されるリスクが高い場合は、弁護士が運営する退職代行サービスがおすすめです。
退職代行サービスの運営元は、民間企業・労働組合・弁護士の3つに分けられ、それぞれサービス内容が異なります。
民間企業や労働組合の退職代行サービスでも、退職連絡や連絡事項の伝達、有給休暇の取得交渉※などのサービスは期待できます。
しかし、会社から損害賠償を請求された場合などの法的サポートは、法律の専門家である弁護士にしか対応できません。
特に、無断で欠勤してしまった場合や、会社の備品を紛失してしまった場合など、すでになんらかのトラブルを抱えているなら弁護士が運営する退職代行サービスを選ぶのが無難です。
また、いま現在トラブルを抱えていなくても、会社から「損害賠償を請求する」と脅されそうな場合は、あらかじめ弁護士に相談しておくとよいでしょう。
※民間企業の場合は、労働組合や弁護士と提携している企業に限る
退職代行を利用して損害賠償を請求されたときは弁護士へ相談
万が一、退職代行を利用して損害賠償を請求された場合は、速やかに弁護士に相談しましょう。
会社からの請求や裁判所からの呼び出しを無視していると、会社側の主張が100%認められてしまう恐れがあります。
たとえ会社側の主張に正当性がなかったとしても、反論せずに放置していると相手側の主張が認められる可能性が高まってしまうのです。
法律の専門家である弁護士に相談すれば、対処法に関するアドバイスやサポートを受けられます。
請求について心当たりがある場合も、弁護士に相談すれば減額や猶予を求められる可能性が高まります。
弁護士が運営する退職代行サービスを利用した場合は、運営元に相談するとよいでしょう。
民間企業や労働組合の退職代行サービスでも、顧問弁護士がいる場合は法的なサポートを期待できるかもしれません。
利用した退職代行サービスに弁護士が関与していない場合は、別途相談先を探す必要があります。
いずれにしろ、損害賠償を請求された場合はスピーディーに行動することが大切です。
さいごに
退職代行を利用しても、それ自体が損害賠償の請求理由になることはありません。
また、損害賠償を請求するとなると、会社側としても費用や手間がかかるため、実行に移すケースはほとんどないと考えてよいでしょう。
しかし、なかには退職について損害賠償を請求され、実際に請求が認められたケースも存在します。
特に、無断欠勤を繰り返した場合や、SNSに会社の悪口を投稿した場合などは、損害賠償請求の対象となるリスクが高まります。
少しでも心当たりがある場合は、弁護士が運営する退職代行サービスを利用するのがおすすめです。
万が一、会社から損害賠償を請求された場合も、迅速かつ的確なサポートを期待できます。
ほかにも引き継ぎ資料を作成しておく、会社の就業規則を確認するなどの対策を講じて、円満退職を目指しましょう。
そうした大きなトラブルを抱えていない方で、おすすめの退職代行サービスを探しているなら、退職代行Jobsもおすすめです。
弁護士監修・労働組合提携にもかかわらず25,800円(税込)というリーズナブルな料金設定で、費用を抑えて退職代行サービスを利用できます。
有給消化や未払い賃金などに関する交渉も可能なため、損害賠償を請求されるリスクが低い場合であれば十分なサポートを期待できるでしょう。
転職活動や引越しサポートなど、退職後のアフターフォローが充実しているのも魅力です。